最終更新日: 2026-05-28
ソフトウェアの選ばれ方が、いま静かに変わりつつあります。これまでのSaaSは、自社の管理画面に来てもらい、その中で操作してもらうことを競ってきました。でも2026年に入って、世界最大級のSaaSや金融機関が、自社のシステムを外部のAIエージェントから呼び出せる形に作り替え始めています。SaaSは「選ばれる側」から「呼び出される側」へ。この記事では、その構造変化の本質と、当事者として私が何を考えているかを、できるだけ正直にお話しします。
SaaSの存在意義が、書き換わっている
2026年5月、ラスベガスで開かれたServiceNowの年次カンファレンス「Knowledge 2026」で、一つの宣言がありました。
CEOのBill McDermott氏は、壇上でこう述べています。「ServiceNowはプラットフォームのプラットフォームを超えて、AIエージェントのエージェントになります。あらゆるモデル、あらゆるクラウド、あらゆるデータソースを繋ぐ存在になる」。
この言葉の重みは、ServiceNowがどういう会社かを知ると分かります。時価総額20兆円規模。世界中の大企業のIT、人事、財務、法務、調達の業務基盤として、深く食い込んでいる会社です。これまでの同社は、自社の管理画面と業務フローを徹底的に磨いてきました。ユーザーが「ServiceNowの中で仕事をする」体験を作ることで、成長してきたんです。
その会社が、自社の全ワークフロー、全承認チェーン、全業務ロジックを、外部のAIエージェントに開放すると発表しました。「Action Fabric」と名付けられたこの仕組みを通じて、ClaudeやMicrosoft Copilot、あるいは顧客が自分で作ったAIエージェントから、ServiceNowの業務システムをMCP(Model Context Protocol、AIと外部サービスをつなぐ共通の接続規格です)経由で直接動かせるようになります。
これは、新機能の追加ではないと思っています。「自社の管理画面に来てもらう」という戦略を、巨大SaaSが自ら手放した瞬間なんです。McDermott氏が「AIエージェントのエージェント」と言ったのは、自社のUIではなく、あらゆるAIエージェントから呼ばれる実行基盤になる、という宣言でした。
同じ時期に、別の業界でも似た動きが起きています。
2026年5月5日、ニューヨークで開かれたAnthropicの金融業界向け説明会に、JPMorgan Chase CEOのJamie Dimon氏が登壇しました。同じ場で、Anthropic CEOのDario Amodei氏が、新モデル「Claude Opus 4.7」と、ウォール街向けの専用AIエージェントを発表しています。会場で公表された顧客リストには、JPMorgan、Goldman Sachs、Citi、AIG、Visaという、世界で最も規制が厳しいとされる金融最大手の名前が並びました。これらの企業が、すでにClaudeを本番運用に組み込んでいる。その事実が、本人たちの口から語られたんです。
監査やコンサルの業界も続いています。2026年5月14日には、世界四大会計事務所のひとつPwCが、Claudeを全社統合する提携を発表しました。その5日後の5月19日には、KPMGが従業員27万6千人規模でClaudeを統合すると発表しています。
これらは、ばらばらのニュースに見えるかもしれません。でも、ひとつの軸で読むと、同じ現象を別の角度から見ていることに気づきます。
これまでSaaSの王道は、「ユーザーに自社の管理画面へ来てもらい、その中で操作してもらう」ことでした。事業者は管理画面を磨き、操作のしやすさを競い、定着率を高めることに投資してきたんです。ところが2026年に入って、この前提が崩れ始めています。世界最大級のエンタープライズSaaSも、世界最大級の金融機関も、世界最大級の監査法人も、自社の業務システムを外部のAIエージェントから呼び出せる構造に作り替え始めました。
SaaSというものの存在意義が、目の前で書き換わっている。私にはそう見えています。
問いを変えてみます。なぜ、これまで「自社の管理画面の中で完結すること」を強みにしてきた業界が、わずか1年ほどで方針を変えたのでしょうか。
その答えを探すことが、この記事の目的です。
ユーザー体験の地殻変動
答えを探す前に、立ち止まりたい場面があります。SaaS業界の戦略転換は、業界の都合だけで起きているわけではないからです。背後で動いているのは、ユーザー側の行動の変化なんです。
ご自身のことを少し振り返ってみてください。ここ1年ほどで、何かを調べたり、決めたり、相談したりするとき、最初の動きはどこへ向かっていますか。
私の話をします。私はいま、仕事のかなりの部分をClaudeとのチャットの中で進めています。フォームを作るときも、文章を書くときも、戦略を考えるときも、まずチャットを開く。SaaSの管理画面にログインするのは、そのあとの確認のときだけです。これは特別な働き方ではありません。海外のFORMLOVAユーザーの多くも、同じ使い方をしています。FORMLOVAの利用者は約7割が海外で、その多くがClaudeなどのチャット画面からMCP経由でフォームを作り、運用しているんです。日本のユーザーは管理画面から入ることが多いのですが、海外のユーザーは「最初の接点がチャットである」体験を、もう当たり前のものとして受け入れています。
この行動は、職業や年齢を超えて広がっています。そして若い世代では、生活の場面にまで届いています。
2026年5月、日本中の関心を集めた出来事がありました。プロ野球の球団の監督が、家庭内のトラブルをきっかけに辞任することになった件です。事件の中身には、ここでは触れません。注目していただきたいのは、その経緯で見えた、ひとつの行動の形です。当事者の18歳の長女は、家庭で困難に直面したとき、最初に相談した相手がChatGPTでした。AIに状況を伝え、AIが匿名で相談できる公的機関を案内し、その案内に沿って長女は児童相談所に連絡しました。
この件を解説したジャーナリストの岸田雪子氏は、こう指摘しています。AIに最初に聞くというのは、いまの子どもたちの間で本当に多い行動で、親に聞くより先にチャットに聞く子が多い、と。
この観察が示しているのは、特殊な家庭の特殊な選択ではないと思います。困ったとき、家族でも友人でも検索エンジンでもなく、AIチャットが最初の相談先になる。そういう行動の地殻変動です。
人が何かを始めるとき、その起点がいま、チャット画面に移りつつあります。
この変化が、いずれ戻る一時的なブームなのか、それとも戻らない構造変化なのか。私は、戻らないと考えています。理由は三つあります。
ひとつ目は、人の脳の仕組みに関わる理由です。一度「即答を得る体験」を覚えた脳は、それより手間のかかる方法に戻ることに、強い抵抗を示します。これは行動経済学で繰り返し観察されてきたことで、特別な話ではありません。検索エンジンが新聞や百科事典に取って代わったとき、紙に戻る人がほとんどいなかったのと同じです。AIに即答を求める体験は、検索に時間をかける体験より、頭にかかる負担がずっと低い。負担の低いほうを一度知った人は、負担の高いほうへ自分から戻りません。AIの回答に誤りが混じると分かっても、人は検索に戻るのではなく、「もっと信頼できるAI」を選ぶ方向に動くんです。
ふたつ目は、世代の入れ替わりです。いま十代の人たちは、物心ついた頃から生成AIが身近にある世代です。彼らにとって「AIに聞く」は、学んで身につけた行動ではなく、もっと自然な動作に近いものです。十年後、彼らが社会の中心を担う頃には、SaaSのユーザーの主流は「チャットから始まるのが当たり前」の人たちになります。これは好みの問題ではなく、人口の問題なので、戻る余地がほとんどありません。
みっつ目は、AI側の改善の速さです。さきほどの長女のケースでも、ChatGPTは公的な支援機関を案内するという、設計上は正しい応答をしていました。危うい応答が問題になるたびに、AIの提供者は対策を打ち、信頼性を上げ続けています。一方で、人が「自分で調べて吟味する」力は、使わない時間が長くなれば自然に衰えます。AIが上手くなり続け、人がその力を手放していく。この非対称な関係が、戻ることを構造的に難しくしています。
行動は、もう戻らないと思っています。ユーザーは、自分の頭の延長としてのチャット画面の中から、あらゆる行動を起こすようになります。
ここで、SaaS業界に話を戻します。
ユーザーが行動を始める起点が、SaaSの管理画面ではなくチャット画面に移った。これは、SaaSの存在条件が変わるということです。これまでSaaSは、選ばれる側でした。ユーザーは複数のSaaSを比べ、管理画面のデザインや操作のしやすさを評価し、選んだSaaSにログインして使い始めました。
これからのSaaSは、選ばれる側ではなく、呼び出される側になります。ユーザーは自分のチャット画面で「フォームを作りたい」「経費を入力したい」「請求書を出したい」と話しかけ、AIエージェントが適切なSaaSを呼び出す。その瞬間にチャットの中から呼び出せないSaaSは、ユーザーの行動の起点にすら存在できません。
SaaSは、選ばれる側から、呼び出される側になりました。
冒頭で見たServiceNowの戦略転換も、ウォール街での金融最大手の動きも、KPMGやPwCの全社統合も、すべてこの変化への応答だと思います。SaaS業界が突然おかしくなったのではありません。ユーザーの行動が、SaaSの存在条件を書き換えてしまった。だからSaaSは、自分の役割を作り直さなければならなくなったんです。
ただ、ここで一つの分かれ道があらわれます。「呼び出される側になる」と言っても、その実現の仕方には、まったく違う二つの道があります。この二つの道の選び方こそが、いまSaaS業界で起きている本当の二極化の正体なんです。
二極化の本質 ― 主導権をどこに置くか
呼び出される側になる、という同じ方向を向いているのに、SaaS各社はいま、まったく違う二つの設計思想で動いています。
ひとつは、自社の管理画面の中に強力なAIエージェントを置き、ユーザーに「うちに来て、うちのAIに話しかけてもらう」体験を渡す設計です。仮に内蔵型と呼びます。
もうひとつは、自社の機能をMCPという共通規格で外に開き、ユーザーが普段使っているClaudeやChatGPTのチャット画面から呼び出してもらう設計です。これを開放型と呼びます。
この二つの違いは、機能のあるなしや、見た目のきれいさではありません。本質は、たった一点に集まります。主導権をどこに置くか、です。
内蔵型は、主導権を自社の中に残します。ユーザーは自社のサイトに来て、自社のアカウントでログインし、自社の管理画面の中でAIと話します。AIが自社のデータを見て、自社の機能を動かし、自社の世界観の中で完結する。ユーザーの視線も、操作も、信頼も、すべて自社に集まる構造です。
開放型は、主導権をユーザーが使うチャット画面に渡します。ユーザーはClaudeならClaude、ChatGPTならChatGPTの画面で対話を続け、その中で必要に応じて自社の機能が呼び出される。事業者の側から見ると、自社の世界観の中にユーザーを留めることをあきらめ、ユーザーの行動の流れの中に部品として参加する選択です。
この違いは、戦略の根っこに関わります。内蔵型は自社のUIを業務の中心に据える戦略。開放型は自社のUIではなく、ユーザーのAIクライアントを業務の中心に据える戦略。そう言い換えられます。
ここで面白いのは、世界の主要なSaaSが、二つのどちらか一方だけを選んでいるわけではないことです。多くの企業は、両方の仕組みを持っています。両方持っているのですが、軸の置き場所がはっきり違うんです。
例として、Salesforceの動きを見てみます。
Salesforceは「Agentforce」という強力な内蔵型のAIエージェント基盤を持っています。CRM(顧客管理)のデータと自社の業務フローに深く統合され、Salesforceの管理画面の中で営業を支援する仕組みです。ところが2025年12月、SalesforceはこのAgentforce SalesをChatGPTの中で動かす統合を発表しました。ユーザーがChatGPTの画面から離れずに、Salesforceのデータを操作できる仕組みです。
なぜ、内蔵型を磨いてきたSalesforceが、わざわざChatGPTの中に出ていったのでしょうか。幹部のKris Billmaier氏が語った動機は、率直なものでした。これは過去のOutlook統合やTeams統合と同じで、ユーザーの目があるところに自分たちが出ていく必要がある、と。
この動きには、別の背景もあります。Salesforceが公式に出ていく前から、サードパーティの開発者たちが、SalesforceのデータをChatGPTにつなぐ非公式のMCPサーバーを勝手に作り始めていたんです。放っておけば、自社のデータが管理の外でAIエージェントに使われ、課金もガバナンスもすり抜けられてしまう。だから、自分たちで公式の出口を作るしかなかった。これは攻めの戦略というより、ユーザーの行動変化への防御的な反応です。
そしてもうひとつ、冒頭で触れたServiceNowの動きが、この構造をさらにはっきりさせます。
ServiceNowもまた、「Now Assist」「AI Agents」という強力な内蔵型のAI機能を持っていました。それが2026年5月、Action Fabricを発表し、自社の全システムをMCP経由で外部のエージェントに開放しました。SalesforceがChatGPTの中に出張するのに対して、ServiceNowは外部のあらゆるエージェントを自社の業務システムに招き入れる構造です。方向は逆に見えますが、本質は同じです。「ユーザーが操作するUIは、もう自社のUIではない」という現実を受け入れた、ということなんです。
ここで、freeeの共同創業者でCAIOの横路隆氏が、2026年初頭に語った言葉が重みを持ちます。「SaaSは人が使うものではなく、AIから使われるものになってきた」。この一文は、巨大SaaSがいま直面している現実を、業界の中の人の言葉で言い当てています。
ただし、注意点があります。SalesforceもServiceNowも、自社のUIや内蔵型AIをやめたわけではありません。両方持っています。両方持ったうえで、軸の置き場所をはっきりとずらした。それが正確な言い方です。これは「内蔵型か開放型か」の二者択一ではなく、「主導権を自社に残すか、ユーザーのチャット画面に渡すか」という、もっと根本的な選択なんです。
そして、ここにSaaS業界の本当の分かれ道があります。
ある会社は、自社のUIを主軸に据え続け、MCP対応は補助として添える選択をしています。別の会社は、MCP経由で呼び出される側を主軸に据え、自社のUIは状態確認の補助として残す選択をしています。前者は、これまでのSaaSの延長で延命を図る戦略。後者は、構造変化を前提に作り直す戦略です。
両者の見た目は、よく似ています。どちらもMCPに対応していて、どちらも管理画面を持っていて、どちらもAI機能を備えている。表面だけ見れば差は分かりません。けれども、軸の置き場所が違えば、設計判断の細部、投資の配分、組織の作り方、マーケティングの方法、何もかもが変わってきます。
軸をどちらに振るかは、ユーザーがこれからどう動くかを、どう読むかにかかっています。
ユーザーが操作するUIは自社のUIではない。ServiceNowが受け入れたこの前提に立つなら、自社のUIを主軸に据え続ける戦略は、いずれ古びます。ServiceNowが自社で答えを出したのと同じ問いに、いますべてのSaaSが向き合っています。
ただ、ここで疑問が残ります。MCPで外に開くという戦略は、技術的にも法律的にも、本当に成り立つのでしょうか。とくに機微なデータを扱う業界、つまり金融、医療、監査、人事では、外部のAIにデータを渡すこと自体に深刻な懸念があるはずです。これまでSaaS業界が二極化していたのは、まさにこの懸念が解けていなかったからです。
ところが、その壁もいま、急速に崩れつつあります。
壁は、崩れつつある
なぜSaaS業界は、これまで二極化していたのでしょうか。
理由はシンプルです。MCPで外に開くことには、深刻な懸念があったからです。とくに大きな懸念が二つありました。データ主権の問題と、安全性の問題です。
データ主権の問題とは、機微なデータを外部のAIに渡してよいのか、という問題です。MCPの仕組み上、SaaSの機能を呼び出した結果は、ユーザーが使っているチャット画面、つまり外部のAI事業者の処理基盤を必ず一度通ります。金融取引のデータ、患者の医療情報、企業の機密文書、人事情報。外に出してはならないとされてきたデータが、自社の管理を離れて外部のAIの処理を通る。これは契約上も法律上も、簡単には許されないことでした。
安全性の問題とは、外部のAIエージェントに自社のシステムを操作させることで、新しい攻撃の入口が生まれる、という問題です。なかでも警戒されてきたのが、プロンプトインジェクションと呼ばれる攻撃です。AIに悪意のある指示をこっそり読み込ませて、本来は許されない操作をさせる手口です。情報セキュリティの専門機関OWASPは、これをAI関連のセキュリティリスクの第一位に挙げています。外部のAIに自社システムへの入口を渡すことは、この攻撃の的が一つ増えることでした。
この二つの壁があったからこそ、機微なデータを扱う業界は、MCPで外に開くことに慎重でした。代わりに、自社の管理画面の中で完結する内蔵型を選んできた。これが二極化の本当の原因です。
ところが、この二つの壁が、いま急速に崩れつつあります。
まず、データ主権の壁から見ていきます。冒頭で触れた事実を思い出してください。世界で最も規制が厳しいとされる金融業界、その最大手であるJPMorgan、Goldman Sachs、Citi、Visaが、すでにClaudeを本番運用に組み込んでいます。世界四大会計事務所のPwCとKPMGが、全社規模でClaudeを統合しています。これらは、機微なデータの扱いに最も神経を使う組織です。その彼らが導入に踏み切った。この事実は、データ主権の懸念が、もう乗り越えられない壁ではなくなったことを示しています。
ただ、ここは丁寧に分けて考えたいところです。金融最大手がClaudeを本番で使うのは、AIを信頼できる相手として受け入れたという、使う側の話です。一方で、SaaSが自社のシステムをMCPで外部に開くのは、提供する側の設計判断です。前者がそのまま後者を保証するわけではありません。それでも、最も厳しい組織がAIを業務に入れ始めたことは、外部のAIにデータを通すことへの抵抗が、社会全体で和らぎ始めている確かな兆しだと思っています。
では、提供する側はどう乗り越えているのでしょうか。鍵は、サーバー側での制御の作り込みにあります。MCPで外に開くといっても、何でも垂れ流すわけではありません。サーバー側で、誰がどのデータにアクセスできるかを厳しく絞り、特定の操作には多段階の承認を求め、すべての呼び出しを後から検証できる形で記録する。こうした制御の層を、業界は仕組みとして整え始めています。
具体例があります。日本のマネーフォワードとfreeeは、2026年3月、会計という金融のど真ん中で、MCPサーバーを公開しました。両社に共通するのは、AIエージェントが操作できる範囲を、ログインしているユーザーの権限の中に厳しく限っている点です。freeeは「ログインユーザーの権限以上の操作は行われない」と明記しています。外部のAIに無制限の権限を渡すのではなく、もともとそのユーザーが持っている権限の枠の中でしか動けないように、サーバー側で縛っているんです。これは、既存のSaaSが長い時間をかけて作ってきた権限管理の仕組みを、そのままAIエージェントの制御に流用できることを意味します。
安全性の壁についても、対策の層が急速に育っています。
2026年5月6日、認証基盤の大手であるAuth0が、MCP専用の認証機能を正式に提供開始しました。AIエージェントがSaaSにアクセスするときの本人確認と権限管理を、業界標準の仕組みで担保するものです。同じような動きは各社で進んでいて、AIエージェントとSaaSの間に立ち、不正な操作を見張り、権限を制御し、すべての操作を記録する関所のような仕組みが、続々と登場しています。
冒頭で触れたServiceNowのAction Fabricも、まさにこの考え方で作られています。ServiceNowは、外部のエージェントが自社システムを操作するすべての行為を、本人確認、権限の絞り込み、操作の記録、承認チェーンを通すことで統制しています。外に開くと同時に、外からの操作を完全に監視下に置く。開放と統制を両立させる設計です。
ここで、ひとつの考え方が見えてきます。サーバー側でAIの動きを制御する、いわば手綱を握る設計です。MCPで外に開いても、サーバー側で手綱をしっかり握っていれば、AIエージェントは許された範囲しか動けません。データの出力範囲も、操作の権限も、すべてサーバー側で決められます。この手綱の設計が育ってきたことが、データ主権と安全性の壁を崩している、いちばん大きな要因です。
ツールの作り方についても、業界の理解が深まっています。かつては、既存システムの機能をそのまま薄く包んでMCPにすればよい、と考えられていました。でも、それでは上手く動かないことが分かってきました。AIエージェントが扱いやすいように、ユーザーの目的ごとに機能をまとめ直す必要がある。そういう設計の考え方が広がっています。決済サービスのStripeをはじめ、60を超えるMCPサーバーを運用してきたBlock社のような先行企業が、この知見を公開し始めています。手綱の設計と、ツールの設計。この二つが噛み合ったとき、MCPは安全に、しかも使いやすく働きます。
ここまで読むと、すべての壁が崩れたように聞こえるかもしれません。でも、正直に書いておきたいことがあります。まだ崩れていない壁も、確かにあるんです。
たとえば、契約上や法令上、データを特定のAI事業者の処理基盤に一切通せない領域があります。一部の極めて機微な医療データ、国家機密に関わる情報、特定の地理的なデータ主権の規制がかかるデータなどです。サーバー側でどれだけ手綱を握っても、絞り込んだあとのデータは外部のAIの処理を通ります。その通過そのものが許されない場合、手綱の設計では解決できません。これは技術の問題ではなく、契約と制度の問題です。解決には、組織が認めた特定のAIしか接続できないようにする、あるいはAIの処理場所まで統制する、といった別の層の仕組みが、業界標準として整う必要があります。これには、たぶん数年かかります。
ただ、この残った壁は、SaaS全体の流れを止めるほどの大きさではありません。世界の業務データの大半は、適切な手綱の設計があれば、MCPで安全に扱える領域に入っています。崩れていない壁は、全体から見れば限られた一角です。そしてその一角も、時間とともに制度が追いつき、いずれ動きます。
壁が崩れたことで、SaaSがMCPで外に開かない理由は、急速に失われつつあります。では次に問うべきは、開いた先で何が起きるのか、です。SaaSの価値は、これからどこで生まれるのでしょうか。
価値が生まれる場所が、動いている
壁が崩れ、SaaSがMCPで外に開けるようになったとき、何が起きるのか。結論から言うと、SaaSの価値が生まれる場所そのものが、動きます。
これまでのSaaSの価値は、その多くが管理画面、つまりUIに宿っていました。使いやすい画面、整理された機能、洗練された操作感。ユーザーはこのUIの良し悪しでSaaSを選び、UIに慣れることでそのSaaSに定着しました。だから事業者は、UIに最も大きな投資をしてきたんです。デザイナーを雇い、フロントエンドの開発に力を注ぎ、画面の改善を繰り返し、操作を覚えてもらうためのサポートを整える。これがSaaSの競争力の源でした。
ところが、ユーザーがチャット画面から業務を始めるようになると、この前提が崩れます。ユーザーはもう、SaaSの管理画面をじっくり見ません。チャットの中で用件を伝え、AIエージェントが裏でSaaSを呼び出して処理する。ユーザーの目に映るのは、自分が使っているチャット画面だけです。SaaSのUIは、ユーザーの視界からほとんど消えます。
この変化が、何を意味するか。市場はすでに、それを激しい形で示しました。2026年1月末、Anthropicがある仕組みを公開した直後の数営業日で、SaaS関連の株式から、推定で合計2850億ドル、日本円にして約40兆円の時価総額が消えました。新しいAIモデルの発表でも、画期的なサービスの発表でもありません。AIエージェントが既存のシステムを直接操作しやすくする。その仕組みの公開だけで、これだけの価値がわずか数日のうちに失われたんです。
市場が何に反応したのか。それは、SaaSの価値が、上のAIエージェントの層と、下のデータの層に吸い上げられ、真ん中にあったUIの層が薄くなる、という構造変化への予感です。価値が真ん中から両端に移り、真ん中が圧迫される。この現象を、業界では中間層の圧迫と呼んでいます。
では、SaaS事業者は具体的に何が変わるのか。三つの変化を順に見ていきます。
ひとつ目は、投資する場所の変化です。これまでUIの作り込みに注いでいた投資、つまり画面のデザイン、操作感の改善、操作を覚えてもらうためのサポート。こうしたものへの見返りが下がります。ユーザーがUIを見なくなるのですから、当然です。代わりに見返りが上がるのは、さきほど見た手綱の設計、AIエージェントが扱いやすいツールの設計、そしてデータの整備です。AIが正確に呼び出せて、間違いを起こしにくく、ユーザーの意図を取り違えないツールを出せるか。これが新しい競争力になります。これは単に重点が移るという話ではなく、SaaS企業の中にいる人の構成、組織の作り方そのものが変わるレベルの変化だと思います。
ふたつ目は、料金の取り方の変化です。これまで多くのSaaSは、利用者の人数に応じて月額を取る方式でした。ところが、ユーザーが管理画面にログインしなくなると、「何人がログインして使っているか」という考え方自体が成り立たなくなります。代わりに広がるのは、AIエージェントがどれだけ機能を呼び出したか、どれだけの処理を実行したか、どれだけの成果を生んだか、に応じて料金を取る方式です。調査会社のIDCは、2028年までに、人数に応じた料金方式は主流ではなくなり、ソフトウェア事業者の7割が料金の取り方を作り直すと予測しています。
みっつ目が、いちばん見落とされがちで、いちばん大事な変化です。ブランドが認知される場所の変化です。
考えてみてください。ユーザーがチャット画面越しにしかSaaSに触れないとき、そのSaaSのブランドは、どこで認知されるのでしょうか。これまでブランド作りに投資してきた場所、つまり管理画面のデザイン、ロゴの露出、画面全体の世界観。これらはユーザーの目に入らなくなります。ユーザーは、自分がどのSaaSを使っているのかを、意識すらしないかもしれません。AIエージェントが裏で呼び出しているだけだからです。
では、ブランドへの投資は意味を失うのでしょうか。意味を失うのではなく、投資する場所が移るんです。
新しいブランドの資産は、三つあると思っています。ひとつは、ツールの品質です。AIエージェントが呼び出したときに、正確に動き、間違いが少なく、ユーザーの意図を的確に汲むツールを出せているか。AIエージェントは、使いにくいツールを避け、使いやすいツールを選びます。ツールの品質そのものが、選ばれる理由になります。ふたつ目は、開発者に向けた言葉です。このSaaSがどういう設計思想で作られているのかを、語れる言葉を持っているか。みっつ目は、思想の発信です。業界全体の議論の中で、自社がどういう立場を取り、どんな未来を描いているのかを、発信しているか。
ユーザーがUIを見ない世界では、SaaSはUIで自分を語れません。代わりに、ツールの品質と、思想を語る言葉で、自分が何者かを示すことになります。
ここに、ひとつの皮肉があります。価値が生まれる場所はもう動き始めているのに、多くのSaaS事業者は、いまだに古い場所に投資を続けています。より美しい管理画面、より凝った操作感、より手厚いUI上のサポート。これらは数年前まで競争力の源でしたが、これからは見返りの薄い投資になっていきます。投資の方向を変えられた事業者だけが、価値の移った先で生き残る。私はそう見ています。
では、この変化はいつ、誰のところに来るのか。ここで、日本市場という固有の事情を考える必要があります。
いつ来るのか、そして日本市場のこと
価値が生まれる場所が動く。SaaSが選ばれる側から呼び出される側になる。この構造変化は、もう始まっています。問題は、これがいつ、どこまで広がるのか、です。
ここから先は予測の話になります。予測は外れることがあるので、断定は避けます。代わりに、変化がどこまで進んだかを自分で見極めるための、いくつかの目印をお伝えします。
ひとつ目の目印は、普通のユーザーが、MCPという言葉を意識せずにチャット画面から外部サービスを使えるようになっているか、です。いまはまだ、MCPを使うには、自分で接続の設定をする手間がかかります。この手間が消えて、ユーザーが何も意識せずに使える状態になったとき、それは大きな目印です。
ふたつ目の目印は、日本国内のビジネス向けSaaSのうち、どれくらいがMCPに対応したか、です。いまは会計分野のマネーフォワードとfreeeが先行していますが、業界全体で見れば、対応している会社はまだ一握りです。これが三割を超えてきたら、流れが本格化したと判断できます。
みっつ目の目印は、GoogleのGeminiやMicrosoftのCopilotといった、巨大IT企業のAIが、外部サービスとの連携をどこまで標準機能にしたか、です。これらが標準でMCPを使えるようになれば、利用者の数が一気に増えます。
これらの目印のいくつかが揃った瞬間が、変化が一気に進む転換点になります。その転換点が、半年後なのか、二年後なのかは、正直なところ分かりません。ただ、そう遠くない未来であることは、現場の感覚として持っています。
そう考える根拠が、私が運営しているFORMLOVAという小さなサービスにあります。
FORMLOVAは、チャットからフォームを作り、運用できるサービスです。Product Huntという、新しいサービスを世界に紹介する場に出したとき、注目を集めるためのバッジは取れませんでした。ところが、実際に触ってくれたユーザーから、自発的な評価が広がりました。とくに、開発者が集まるIndie Hackersというコミュニティで口コミが起き、そのトップに表示されるまでになりました。海外のテック系の記事でも取り上げられ、そこからの流入が続いています。
ここで注目していただきたいのは、口コミの起点が、製品の宣伝ではなかったことです。私がしたのは、MCPの使い方を解説する記事を、いくつも書いて発信することでした。製品を売り込んだのではなく、考え方を共有した。それに開発者の人たちが反応してくれたんです。新しいブランドの資産は思想の発信である、という先の話を、私自身が小さな規模で体験したことになります。
そして、もうひとつ大事な事実があります。FORMLOVAの利用者は、約7割が海外です。主な利用国は、アメリカ、スペイン、ヨーロッパ諸国といった、AIの利用が進んでいる国々です。日本からの利用は3割ほど。サイトへの訪問者数で比べると、海外と日本では10倍ほどの差があります。利用者の比率と訪問者の比率がずれて見えるのは、訪問から実際の利用までの定着の仕方が国によって違うからですが、どちらの数字でも、海外が大きく先行しているのは確かです。
この偏りは、私のマーケティングの力の入れ方だけでは説明がつきません。私は日本語でも、ブログやX、Noteで相当な発信をしています。それでも差が出る。これは、市場の側の準備の差だと考えるのが自然です。海外、とくにAI先進国では、MCPで外部サービスを使うことに馴染んだ人たちが、すでにある程度の数、存在しています。日本では、まだその層が薄いんです。
誤解のないように、申し添えます。日本の利用者が少ないのは、技術が劣っているからでも、ニーズがないからでもありません。私が見るところ、これは新しいものを最初に試す層の厚さの違いと、採用の仕方の文化の違いです。日本には、隣の人が使い始めたら自分も使う、という同調を重んじる傾向があります。逆に言えば、最初の数人がなかなか動き出さない。一方、アメリカや一部のヨーロッパでは、隣が使っていなくても、自分が良いと思えば飛び込む人が一定数います。だから先に火がつくんです。
MCPはいま、知る、選ぶ、繋ぐ、という三つの能動的な動きをユーザーに求めます。最初に試す層が厚い市場では、この三つを越える人が出てくるので、後に続く人が真似をします。最初に試す層が薄い市場では、最初のひと転がりが起きないので、後も動きません。最初の一塊ができるかどうかの差です。
この事実は、日本のSaaS開発者にとって、大事な示唆を含んでいると思います。多くの方が、MCPはまだ早い、と判断しています。その根拠は、たいてい、自分の周りの日本市場の体感です。けれども、その体感には偏りがあります。日本市場でMCPがまだ流行っていないのは、MCPという技術の良し悪しを映したものではなく、日本市場ならではの採用の仕方を映したものに過ぎません。世界で見れば、先に進んでいる層が確かに存在します。FORMLOVAの海外7割という数字が、それを物語っています。
では、日本のSaaSは取り残されるのでしょうか。私は、危機感を煽るつもりはありません。日本市場には、もうひとつの顔があるからです。
日本市場は、新しい技術の立ち上がりは遅いのですが、いったん火がつくと、浸透が速いという性質を持っています。スマートフォンの普及も、QRコード決済の普及も、SaaSそのものの普及も、初動は遅れましたが、転換点を越えたあとの広がりは、むしろ他国を上回る速さでした。MCPも、おそらく同じ道をたどります。
だとすれば、考えるべきは、もう手遅れだ、急げ、という焦りではありません。火がつく前に、どう構えておくか、です。日本市場で火がついた瞬間に、最も自然な選択肢として真っ先に思い出してもらえる場所に、いまのうちに立っておく。それが、これからの一、二年で効いてくる準備です。遅れる市場だからこそ、先に動いた人が良い位置を取れる。これは危機ではなく、機会だと思っています。
私がFORMLOVAでやっているのは、まさにこの準備です。世界で先に利用者を獲得し、思想を発信し続け、日本市場の火がついたときに、すでにそこにいる状態を作る。これは賭けです。けれども、根拠のある賭けだと思っています。
最後に、その賭けの当事者として、私がこの一年で何を考え、何に苦しんだのかを、正直にお話しさせてください。
FORMLOVAの現在地
ここまで、SaaS業界の大きな構造変化を、できるだけ俯瞰してお話ししてきました。でも、現場の景色は、もっと複雑です。最後に、その複雑さを、当事者として正直にお伝えしたいと思います。
私はFORMLOVAという、MCPで外に開くことを前提に設計したサービスを運営しています。チャットからフォームを作り、そのあとの運用もチャットの中で完結させる。管理画面は残してありますが、それはあくまで状況をひと目で確認するための補助です。フォームへの回答がどれくらい集まったか、全体がどうなっているかを見たいときには、やはり画面でパッと見られたほうが便利だからです。主役はチャット、画面は脇役。この主従関係を、最初から決めて作りました。この設計の背景は、MCPフォームサービスまとめやフォーム運用にMCPレイヤーが必要な理由でも書いています。
将来的には、この状況確認すら、チャット画面の中にAIが映してくれる世界が来るとも思っています。でも今はまだその時期ではないので、画面は補助として残す。どちらか一方を捨てるのではなく、軸をチャット側にはっきり置く。これが私の選んだ設計です。
この設計で作ってきて、思っていた以上に手こずったことがあります。それは、認知の壁です。
正直に言うと、これが一番難しい。フォームを作りたいと思った人が検索すると、上位に出てくるのは既存のフォーム作成サービスです。みんな、フォームを作るという行為を中心に情報を探しています。一方で、MCPを使ってフォームを運用する、という考え方を、ピンポイントの言葉で探している人は、まだほとんどいません。人は、自分が困っていることを起点に検索します。MCPでフォームを運用するという発想自体が、まだ多くの人の困りごとの言葉になっていないんです。
だからFORMLOVAは、しばしば普通のフォーム作成サービスと勘違いされます。これが、私には歯がゆい。FORMLOVAは、フォームを作るだけのサービスではないからです。応募や問い合わせを起点に、その先の業務の流れまでをチャットの中で組み立てていく。私はこれを、ウェブのコンシェルジュのような存在だと思っています。フォームという入口から入って、その先の処理を、対話しながら片付けてくれる。そういう立ち位置です。
かといって、業務の流れを自動化する既存のツールと、正面からぶつかるつもりもありません。それらと戦うのではなく、それらをうまく束ねて、もっと上の体験を届ける。そういう世界観を持っています。
ただ、この「フォーム作成サービスでもなく、業務自動化ツールでもない」立ち位置を、正しく理解してもらうのが、本当に難しい。新しいカテゴリーを認知してもらう作業は、思っていたよりずっと時間がかかります。即効性のある打ち手はありません。地道に、いろいろな切り口の記事を書き、媒体をまたいで発信を続けています。SNSで一気に広がることも狙いたいのですが、ここでひとつの壁にぶつかります。FORMLOVAは、見ただけでは良さが伝わらないんです。
これが、もうひとつ手こずっている点です。実際にチャットにつないで使ってみて、初めて「これは違う」と感じてもらえる。けれども、使う前の段階では、画面のスクリーンショットを見せても、その価値が伝わりにくい。実際、使ってくださった方からは、良いという声をいただいています。問題は、その最初の一歩のハードルなんです。
加えて、管理画面に慣れた方ほど、最初は違和感を覚えるようです。フォームを作って運用する作業を、これまでずっと画面を見ながらやってきた人にとって、それをチャットの中で進めるのは、感覚が違う。見ながら作る体験と、対話しながら確認していく体験は、大きく異なります。これは慣れの問題でもあるのですが、移行期には必ず生まれる摩擦です。
こうして書き出してみると、苦労ばかりのように聞こえるかもしれません。けれども、私はこれらの苦労を、必要なものだと思っています。
ここまで見てきたとおり、MCPで外に開くという流れは、確実に進んでいます。世界最大級のSaaSが舵を切り、金融最大手が動き、会計ソフトの二強が対応しました。流れの向きは、もう変わりません。けれども、その流れが社会に行き渡るまでの移行期には、必ずこうした摩擦が生まれます。新しいカテゴリーの認知。慣れ親しんだ体験からの移行。見ただけでは伝わらない価値の説明。これらの壁は、誰かが先に越えなければ、後に続く人も越えられません。
先に動く人は、この摩擦を引き受けることになります。引き受けた見返りとして、市場の火がついたときに、最も自然な選択肢として思い出してもらえる場所に立てる。私がいまやっているのは、その引き受けです。
FORMLOVAの現在地は、まだ道の途中です。認知の壁の前で立ち止まり、勘違いされ、説明に苦心しています。けれども、この現在地は、私ひとりのものではないと思っています。これは、MCPの時代にSaaSを作ろうとする人が、誰もが越えなければならない壁の、縮図でもあるからです。
SaaSは、選ばれる側から、呼び出される側になりました。呼び出される側になるということは、ユーザーの視界から消えるということです。視界から消えてなお、選ばれ続けるために、何に投資し、何を語り、どんな思想を持つのか。その問いに、私はFORMLOVAという小さなサービスで、自分なりの答えを出そうとしています。
揺れているのは、SaaS業界だけではありません。それを作る私の足元も、同じように揺れています。その揺れの中で、どこに軸足を置くかを決めること。それが、この時代にSaaSを作る、ということなんだと思います。
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FORMLOVAは現在、Claude、ChatGPT、Gemini、Cursor、Windsurfなど、MCP対応のAIクライアントからご利用いただけます。
執筆・確認情報
この記事はFORMLOVAの自社ブログ記事です。筆者はFORMLOVAの開発者です。本文で触れた他社の発表や数値(ServiceNow、Anthropic、Salesforce、PwC、KPMG、マネーフォワード、freee、Auth0、IDC、OWASPなどに関するもの)は、2026年5月時点で公開されていた一次・二次情報を確認して執筆しています。市場の時価総額の変動額や各社の発表内容は、報道や推計に幅があるため、重要な判断に用いる場合は各社の公式発表でご確認ください。料金、機能、上限値などの条件は変更される可能性があるため、最新情報は各サービスの公式ページで確認してください。


